じゃこびの町

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【感想】トム・クルーズも認めた漫画『実は私は(じつわた)』を読んでみたけど…【増田英二】

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面白すぎてワロタ。


昨年、チャンピオンで連載していた増田英二先生の『週刊少年ハチ』を読んでおもしろ~となっていたところ、「増田英二なら『じつわた(実は私は)』『さくらDISCORD』を読まんかい!」と謎の勢力に喝を入れられまして。

とりあえずアニメ化もしたというビッグタイトル『実は私は』から攻めてみようということで正月に爆買いして読んだのですが、ま~あ面白い。胸がいっぱいになってしまいました。

よく練られている漫画だと感心しましたし、流石トムが一目置くだけのことはある*1といったところでしょうか。

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目次

あらすじ

ミステリアスなクラスメイト 白神葉子に恋をした隠し事のできない主人公 黒峰朝陽。友人たちの後押しもあって告白を決意した朝陽は葉子に想いを伝えようとするが、実は彼女は吸血鬼であることを知ってしまう。
正体がバレたら学校を辞める約束があることを葉子から告げられた朝陽は、共に秘密を守ろうと提案。告白どころではなくなってしまったが、"友達"として二人は新たな学校生活を歩み始める──。

ちょいアホ人外青春ラブコメ

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卓越したストーリー構成

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結論から言ってしまうと『実は私は』はお話の完成度が非常に高いです。

この漫画のすごいところは、ラブコメの到達点とも言える主人公の告白→カップル成立という一大イベントを終えてなお作品の面白さが加速していくとこなんですよね。

大体10巻あたりで告白して付き合い始めちゃうんですが、この段階でまだ話が半分以上残ってるという異例のペース配分。少年漫画では珍しいと思います。

告白が最大の見せ場、それ以降を描くのは蛇足というのがラブコメの通説と昨今言われますが、見事に覆してくれたなと。体育祭(2回目)→スペース・カグヤ→クリスマス→卒業式までの怒涛の盛り上がりがマジですごい。

付き合い始めた二人のラブラブコメコメしたエピソードが展開していく一方で、他の負けヒロインたちを深掘りして上手く話を広げていったと思います。

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あと伏線回収が秀逸。これでもかというほど過去のさりげない描写が後半に繋がっていて、読んでて気持ちいい。

普通にギャグシーンかと流していた場面も後になって実は重大な意味を持ってた、みたいな展開多すぎ問題。

最初からそのつもりで描いてたのかは知るところではありませんが、これだけ初期の設定・描写を巧みに拾い上げて別の見せ場へと昇華させていけるのは普通にヤバイと思います。あっぱれ。


初期から過去改変のために主人公の孫が送り込まれてきたり、未来へタイムトラベルしたりするんですが、これもま~あすごい。

未来の描写のミスリードが半端なくて、まんまと騙されたことに気付いたときは鳥肌立っちゃいました。これは僕がアホなだけかもしれませんが。

過去現在未来、ギャグ要素強い漫画なのをいいことに無茶苦茶設定詰め込んだなと思ってましたが、終盤になってそれらが綺麗に収束して物語に組み込まれていくのはマジでビビります。こわ~。


生き生きとしたキャラクター

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『じつわた』のキャラを見てると本当に表情がコロコロ変わって見ていて飽きません。
心理描写もしっかりしているので、今こいつは嬉しいのか悲しいのか怒ってるのかというのが一目でわかりますし、読み手にキャラクターの感情がすんなり伝わって作品に没入しやすいです。

結構絵柄が独特、というか古臭ない?と感じることも多々ありましたが、この漫画の青臭く優しい世界にまあよく合ってるな~とか読んでる途中に不思議と思うようになりました。

あとなんというか、作者がキャラクター達を愛してるのがすごい伝わってくるのも好印象。登場人物皆に幸せな未来を用意させてやりたいんだろうというのが見て取れるし、キャラに愛着湧きまくりの読者の期待にも応えようとしてくれるのは嬉しいところです。

久しぶりに漫画の最終話読んでるときに「このページ捲ったらこいつらともうお別れなのか……トホホ」という感傷的な気分になって手が止まりそうになりました。

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一番好きな場面。見開きでキャラクターの表情がバーンと出てくるのがこの漫画多いですが、中でもこの紅本茜の笑顔はプライスレス。


なりふり構わないギャグ

上の方でもちょっと書きましたが、『実は私は』はギャグ要素が強いです。実質ギャグ漫画。

勢いのあるギャグに僕は普通にゲラゲラ笑ってしまったんですが、まあ笑いの沸点は個人差激しいので面白いと感じるか寒いと感じるかは読んで確かめてみてほしいところ。

ヒロインたちに容赦なくギャグ顔させたり、天丼に次ぐ天丼ギャグなんかが特徴的。

あと前の週の感動的なシーンを作者が自分でぶち壊していくネタが度々あるのも面白いです。

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こんな感じのやつ。構図コマ割りがマジでそのまんまなので一瞬で分かってしまうのがツライツライです。

シリアスパートで重くなった作品の空気をこうやってセルフパロディで笑いにもっていってバランスとろうとするこの辺のさじ加減、グッド。


漫画史に残るタイトル回収

まあこれ。一番伝えたいのはこれですよ。

「実は私は白神葉子が好き」から始まり、「実は私は吸血鬼」「実は私は宇宙人」「実は私は狼男」「実は私は未来人」等々、タイトルである「実は私は」というフレーズが全編通して使われるこの作品。

最終巻で『実は私は』という定番の「作品タイトルをサブタイトルに持ってくる回」が出てくるんですが、これが冗談抜きですごい。

ここまで散々出てきた「実は私は」はこの瞬間のためにあったのかと気づいたとき、マジで四肢が吹き飛びそうになるほどのカタルシスを感じてしまいました。このタイトルをこんな使い方して物語最大の山場を乗り越えようとした発想、天才のそれとしか言いようがありません。ホンマ熱すぎ。

これほど見事なタイトル回収はついぞお目にかかったことがないですし、間違いなく史に名を残すレベル。天晴れ。

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年始早々素晴らしい漫画に出会えてマジで気分がいいです。

ブコメがメインではありましたが、人間と人外の共生誰もが抱える”秘密”とそれを受け入れる勇気みたいなものもテーマになっていて、メッセージ性に富んだ作品だったなと読み終わってから思いました。

一抹の寂しさは拭えませんが、それ以上に心が温まる読後感を得ることができて大満足。やっぱハッピーエンドに勝るものはないわ。



オススメしようと調べていたらどうやら2019年1月7日までamazonで1,2巻は無料で読めたみたいですね。ちょっと紹介するのが遅かった。

まあコミックスの値段以上の面白さはあると思います。機会があったら是非読んでみてください。



最後に
ここまで読んでいただきありがとうございました。

*1:2013年6月にトム・クルーズ桜坂洋の『実は私は』の紹介ツイートを突如リツイートしたのが由来。テレ朝でも取り上げられるほど話題を読んだが、実際にトム・クルーズが漫画を読んだかは不明。